お人形の買い取り

 今日もお雛さまと五月人形を買い取ってもらえないかとのお電話が2件ありました。どちらもまだ購入されて数年、かさばるし、ある程度お子様が大きくなったのでもう飾らないとのこと。
 結論的に申し上げると、普通の人形店ではよほどのことがない限り買い取ることはありません。中古品のお雛さまをお求めになるお客様はいらっしゃらないからです。
 ここ数年、こうしたお問い合せがすごくふえてきているのを感じます。業者として申し訳なさに身がすくむ思いです。お話をお伺いすると、ご実家から初節句だからと言われ雛人形をお求めになったものの、2年目からは周囲の方も関心がなくなったようにお祝いもされず、お母さんだけがたいへんな思いをして飾ったりしまったり・・・理不尽です。そうお感じになるのも無理はありません。しまう場所もばかになりません。

 これはひとえにわたしたち業界が悪いのだと思います。お客様からの情報で、「あそこのお店では雛人形は7才まで飾ると言われた」とか、「どうせ小さな間しか飾らないのだから」と言われて、まるで『こども用品』か『ベビー用品』のように販売されているという話をお聞きします。
 お雛さまや五月人形は「こども用品」でも「ベビー用品」でもないのです。デパートなどでは「玩具売場」によく並べられていますが「玩具」でもありません。

 雛人形を飾るのが雛祭りではありません。例えて言えば、お正月も節句のひとつですが、お鏡餅を飾ることがお正月だとはどなたも思っていないのと同じです。女の子のいる、いないにも関わりありません。おじいさんの独り住まいでも雛祭りはされるのです。かつては雛祭りの日は「上巳の節句」と呼ばれていました。古く平安時代には、藤原道長は毎年3月のこの日には鴨川に出て上巳の祓えを行いました。いつの間にか雛祭りは女の子の節句のように思われるようになりましたが、男女は関係ないのです。
 その上巳の節句、雛祭りの日に身代わり、形代として人形を飾り一年の感謝とこれからの一年の安全を祈願する日なのです。女の子はお誕生になると、生涯のお守りとして雛人形が用意され、お家に新しく加わります。それは、「玩具」ではなく「節句の調度品」なのだと思います。当然、結婚されるときにもご持参され、嫁ぎ先様でも飾られます。

 生涯、およそ100年間にわたって飾っていただく、このためにわたしたち専門業者は心をくだきます。昨年まではおかあさんのお雛さまだけだったのに、ことしはお子様のお雛さまが加わる。おかあさんのお雛さまは少し脇にしていただいて、おかあさんのお雛さまのあったところにお子様の新しいお雛さまをかざる、おかあさんからお嬢さんへ、お雛さまはこうしてずっとつながっていく節句の調度品です。おかあさんのものがあれば、屏風や台など不要のこともあります。妹さんが生まれれば、どうしたらいいか、またご相談ください。このように、節句行事などにかかわるすべてのことにお応えできるのがわたしたちのような専門店なのです。

アーカイブ

ウェブページ

大西人形本店Webリンク