総裏 裾裏 一枚物 の最近のブログ記事

総裏 裾裏 一枚物

 鎧や兜の高級品にときどき 「総裏(そううら)」 とか 「裾裏(すそうら)」 というものがあります。普通のものはこれに対して 「一枚物(いちまいもの)」 と呼ばれます。特に京都の職人の甲冑にこうした呼び方がつけられていることが多いです。

  兜の場合、ヘルメットにあたる 「鉢」 があり、この後ろに細かな縅絲(おどしいと)が編まれて 「錣(しころ)」 という金色や黒色の、横に細長い板が3~4段、下がっています。もとは、細かな木や竹、革などでできたちょうどカマボコ板のような冊(さく)、これを小札(こざね)といいますが、これを縅絲(おどしいと)で何十枚も横につなげて板にしたものです。

2_vol20.jpg

 
飾り兜では、続小札といって鉄などの金属を細かな波状に凹凸をつけた錣をよく使うのですが、一枚物ではこの錣は裏も表も凹凸があります。対して、総裏の兜では表から見てもわかりませんがこの錣が分厚くなって裏面が平らになっています。3~4段ある錣の全部が平らになっているものを 「総裏」、一番下の一段だけが平らになっているものを「裾裏」と呼んでいます。

よく 「総裏だから高級」 と言われますが、実際、一枚物と比べると2~3倍の値段がついています。お店で聞いても「錣が厚くなっているから」としか教えてくれませんが、「厚くなっている」 だけにしては値段がずいぶんと高すぎるような気がします。

実は、錣が分厚くなって裏が平らになっているから高いのではないのです。同じ職人が作る兜でも、上中下のランクがあります。この上ランクのものを「総裏」として、いわば簡単に見分けが付くようにするためのものなのです。錣の裏が厚いのは、裏に分厚い和紙などを圧着し漆や膠で固め金箔などを
施して平らにしたもので、これだけで何万も何十万円も値段が変わるわけではありません。彫金が複雑に、時には手彫り仕上げになったり、鉢の星に細かな座金がつけられたり、さまざまな部分で手間のかけ方が大きく違っているのです。デパートなど、一般のお店の販売員ではこうした違いがわかりにくいため、錣の形状でランクの上下がわかるようにしたのですね。

鎧ではこの部分を錣とは呼ばず、小札とだけ呼ぶようです。実際の兜では木や革、鉄板などが使われ、革と鉄を貼り合わせたものなどもあります。平安、鎌倉時代の壮麗な甲冑は、世界で最も美しい武具と呼ばれています。

※画像の黒い部分が総裏の錣です。

このアーカイブについて

このページには、過去に書かれたブログ記事のうち総裏 裾裏 一枚物 カテゴリに属しているものが含まれています。

前のカテゴリは笏(しゃく)と桧扇(ひおうぎ)です。

次のカテゴリは緑の手袋 です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

ウェブページ

大西人形本店Webリンク

Powered by Movable Type 4.261