遠山屏風のこと

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 5月5日は端午の節句。人形屋では、お雛さまと五月人形は書き入れ時、いろいろな種類のお飾りが売られています。

 これは、最もシンプルなスタイルの兜飾りです。

 兜は京都の粟田口清信師の作で、あごに結ぶ忍び緒は実際のように組まれています。兜の話はコラムでも書いているので屏風のことをお話したいと思います。
 絵画に額縁や表装がないと今一つぱっとしないように、お飾りも屏風一つでずいぶん印象が変わってきます。

 この屏風はやはり京都の松月堂師の作ですが、山々の描かれた「遠山屏風」と呼ばれるものです。江戸時代には「冬の遠山、夏の萩」という言葉があって、遠山や萩の絵の描かれた屏風や襖は縁起の良いものとされてきました。萩はたいへん繁殖力が旺盛なので子孫繁栄につながり、遠山は山々が連なることや、妊娠している女性のおなかを連想させるためか、両方とも新婚家庭にはことに喜ばれたそうです。

 この屏風は手漉きの本鳥の子の和紙に金箔の砂子(金、青金)で山が描かれています。もちろん本表装ですが、内側には障子のように格子が組まれ、下張りを重ねた上に丹念に仕上げられています。縁は桑で、どんすのヘリが施されています。
 いい兜はこういう屏風の前に飾ると、とても引き立ちます。自分のものにしたくなります。

 ちなみに、このお飾りの価格は全部で65万円ほどです。(後ろの掛軸は含みません。)