端午の節句

 端午の節句は「午」がついていますので、午の日に行われていたのかと思われがちですが、実は、奈良・平安緒時代から、きっちり五月五日に行われています。ですから、古文にはこの日は「端五」あるいは五が重なるので「重五」の節句として出てきます。
 枕草子にもあるように、この日には家々の屋根や柱にたくさんの菖蒲が飾られ、街中に良い香りが流れます。この日は男女に関係なく、夏に向けての厄除け、厄落としの行事としてさまざまなことが行われます。そのひとつに「薬玉」があります。
 これから夏に向けて、食べ物が腐りやすくなったり、さまざまな害虫や疫病が現れます。このために美しく飾った薬玉の中に種々のお薬が入れられます。(このお薬は九月九日の重陽の節句の日に冬用のお薬に入れ替えられます。)
 さて、この疫病は、昔は原因がわからなかったため、なにかのタタリとして恐れられてもきました。このタタリを断ち切るのが「鍾馗」さんです。何と言っても、玄宗皇帝の夢の中の悪鬼を退治するくらいですから、最強の魔除け、厄除けです。そんな訳で、端午の節句には昔から鍾馗様が飾られます。「だってこわいんだもの」と言って敬遠される方が多いのですが、こわくないと意味がありません。そのこわさは悪鬼に向けてのみのもので、実は心優しい正義の味方なのです。
 写真は、沢栗長五郎の栴檀の木彫りの鍾馗、及川映峯の頭の三代目松崎昭玉の鍾馗、現代の松崎幸一光の鍾馗です。数多い人形師の系譜の中のひとつです。店内に展示しておりますのでご覧ください。