連載 お雛さまの重箱のスミ 127

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

笏(しゃく)

左から、象牙、花梨、一位、

ヒノキの笏

象牙の笏を持ったお雛さま

 男雛が持っている細長い板、「笏」といいます。

 「しゃく」なのに長さは尺二寸ほどですw。お雛さまの笏の素材はいろいろで、左から象牙(牙笏:げしゃく)、花梨(かりん)、一位(いちい)、桧です。実際に宮中や神主さん達も象牙や一位を使います。牙笏はお高いお雛さまに使われることがありますが、それほどこだわるところではありません。象牙の笏は位の高い人しか使えませんでしたが、平安時代には大きな儀式のときには位に関わらず用いられるようになりました。

 笏は一体何のため?私たちが神社でお祓いなどを受けるとき、神主さんは間違えないようにきちんと紙に書かれた依頼者の氏名住所を読み上げます。笏が日本に伝わったのが仏教伝来と同じころ、まだ紙が伝わる前のことなので、当時の神主さんはこの笏という木簡に祝詞を書きつけて儀式を行っていました。紙が日本でも作られるようになると、祝詞を書きつけた紙を笏に添えて読むようになりました。

 笏には一位の木がよく用いられますが、中でも位山(くらいやま)スキー場で有名な位山の北側に生えている一位で作られた笏は高級品ということです。この木が一位と名付けられたのも、神官が使うのを見た仁徳天皇がこの木に正一位を授けたのでイチイという名になったそうです。

 ここで待て待て、と言う方もいらっしゃるでしょう。笏が日本に伝わったといわれるのが6世紀の仏教伝来と同じころ。仁徳天皇は4世紀の方です。200年程の開きがあるではないか。こうしたちぐはぐな点は、古代の歴史を眺めるといたる所に出てきます。すみません、私は学者ではないのでこのちぐはぐをどう説明したらいいのかわかりません。漢字も仏教の伝来とともに6世紀に伝わったとされていますので、仁徳天皇の時代に笏があったのかどうか非常に悩ましいところです。

 紙がわが国で作られるようになって、笏は祝詞を書きつける役目を終え、現代のように「威儀をととのえる」ためだけに用いられるようになりました。

 ちなみに、女雛の持つ檜扇(ひおうぎ)は、この笏をかなめで綴じたものと言われています。

節句文化研究会では、こうした 面倒臭いけどなんだか楽しい節句のお話を出前しています。カルチャースクール、各種団体、学校などお気軽にお問合せください。→HP最後のお問い合わせメールからどうぞ

これまで、いくつかの和文化カルチャースクール様、生涯学習教室様、ロータリークラブ様、徳川美術館様、業界団体様、中学の授業などでお話させていただいています。

※この記事の無断引用は固くお断りします

  • このエントリーをはてなブックマークに追加