甲冑 兜 ~その十七~
兜のクワガタ
長鍬形(ながくわがた)
大鍬形(おおくわがた)
鍬形はいうまでもなく、クワガタムシの名の元になっているものです。なぜ、兜に農具のクワがついているのでしょうか。これにはいろいろな説がありますが、私は、植物のクワイ(オモダカ)が元だろうと思っています。農具のクワの名も元をただせばクワイの葉のかたちからきています。そう考えれば、農具の鍬から鍬形になったのではなく、クワイのかたちから、鍬も鍬形もそう呼ばれるようになったと納得できます。クワイはオモダカの別名で、沢瀉縅(おもだかおどし)といって甲冑の縅絲(おどしいと)の模様にも用いられるなど縁起の良い植物とされています。クワイの根茎(こんけい)はお節料理にもよく入っていて、栗のような実から一本芽が出ている姿から「芽が出る」縁起の良いものとされています。実際に栄養価も高く、江戸時代には栽培も奨励されていました。また、オモダカは勝軍草と書かれたりもしました。鎧兜にうってつけの名前です。
また、歌舞伎の澤瀉屋(おもだかや)でもこの名が使われており、やはり縁起の良いことからつけられているのでしょうが、令和五年の事件でこの屋号の行く末も案じられます。
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