破魔弓 ~その一~
破魔って? ②
昭和四〇年代の当店製 破魔弓
六月三十日は大祓え=夏越しの祓えです。この日には全国の神社で「茅の輪くぐり」の神事が催されます(旧暦で催すところも多い)。
昔昔、巨旦将来(こたんしょうらい)というお金持ちの家に、貧しい身なりの旅の男が「一晩泊めて下さらんか」と訪ねてきました。巨旦は男の身なりを見てすげなく断ります。男は次に兄の蘇民将来(そみんしょうらい)の所へ行き、一晩の宿を頼みます。貧しい蘇民は快く男を泊めて精一杯もてなします。翌日、男は玄関に茅の輪を下げるように告げて去ります。その後、蘇民将来の家は栄え、疫病にもかからず幸せに暮らし、巨旦は没落したということです。その貧しい身なりの旅人は実はスサノオノミコトだったのです。
以来、茅の輪を玄関に飾ったり、腰にさげるようになりました。これが茅の輪(はま)の由来ということです。これが発展して神社の夏越しの祓えの「茅の輪くぐり」になったと多くの神社で解説されています。
大祓(おおはらえ)は年に二回あって、六月三十日と十二月三十一日です。六月は夏越しの祓え、十二月は年越しの祓えと呼ばれ、厄除けお祓いの大きな行事です。お正月に「はま弓」を飾る由来もここにあるのです。
「はま」にはこのようにいろいろな「お話」がついて回りますが、みんな魔除け、厄除けに結び付いています。輪くぐりも、ほんとうに身を清められるような心持になります。ぜひお近くの神社へお出かけください。(六月三十日から八月の旧暦六月三十日まで、神社によって催日はさまざまです。那古野神社では八月一日に催されます)
「体験の格差」という言葉があります。あまり好きな言葉ではありません。お子様の成長過程で、お正月やひな祭り、端午の節句、お誕生会や家族旅行など、体験の豊かな子とそうでない子の「格差」のことです。この茅の輪くぐりもそうです。わずかな初穂料で体験できます。小さなころ、浴衣を着てご両親と行った「茅の輪くぐり」の体験は、いつまでも記憶に残ります。
お節句や節目のお祝いなど、高額、豪華である必要はありません。しかし、そうした体験がお子様の成長に及ぼす影響は、とても大きいように思います。親御様の情愛が自然と伝わるとともに、豊かな体験がお子様の心に宝物として残ることは間違いありません。
節句文化研究会では、こうした 面倒臭いけどなんだか楽しい節句のお話を出前しています。カルチャースクール、各種団体、学校などお気軽にお問合せください。→HP最後のお問い合わせメールからどうぞ
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