五月人形の「重箱のスミ」①

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「兜のてっぺんの穴」

ときおり、お客様から「兜のてっぺんの穴にはめるものがない」と、

クレームをいただくことがあります。この穴にはめるものはないのです。

名前は「天辺孔」といい、穴を構成している金具を「八幡座」といいます。

この穴は何のためにあいている?

いくさは涼しい時ばかりではありません。真夏のときには陽にやかれて、

目玉焼きができるくらいに熱くなります。その熱気を逃すためにあいて

います。烏帽子をかぶった人形がありますが、平安時代から鎌倉初期には

兜はこの烏帽子をかぶったまま兜をかぶり、烏帽子の先端をこの穴から外に

出します。3番目の絵のように、兜の上から出ている黒いものです。

暑い時には当然、頭がかゆくなります。そのときはこの穴から棒を突っ込んで

掻きます。鎌倉時代後期には、兜の内側に布や革で「うけばり」というクッ

ションを貼るようになったので、兜の先から烏帽子を出すことはなくなり

ましたが、代わりに最後の絵のようにこの穴に飾り物をくっつける変な人

(””(-“”-)”)も現れました。江戸時代の節句飾りの兜にも、この穴に造花や

作り物を立てたものが見られます。

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