連載 お雛さまの重箱のスミ 125

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

お雛様の意味 ~その2~

 めんどくさい?

飾るのに30分もかからないお雛さま

 前回(124)で「販売員の方に『小学校くらいまでしか飾らないのだから、この小さいのがお勧めですよ』と言われました。そんな失礼なことをお客様に言っているのかしらと心配になりました~」と書いたところ、どこが失礼なのか?というご意見をいただきました。そこで、なぜ失礼かを書くことにします。

 この文章は「小学校くらいまでしか飾らない」というのと「小さいのがお勧め」の二つでできています。

 最初の「小学校くらいまで・・」という販売員(マネキン)さんの言葉には悪気はぜんぜんないと思います。しかし、その言葉を分析すると、「どうせ飾ったりするのは面倒でしょ」か、あるいは雇われている問屋さんのマニュアルに「お雛さまは小学校に入るくらいまで飾るもの」となっているか、どちらかか両方でしょう。私はどうも面倒くさがりに見えたようです。

 もう一つの「小さいのがお勧め」というのは、「どうせ狭いマンションにお住まいでしょうから小さいのがいいですよ」あるいは「大きな高額なものは買えないでしょ?」という風に見られたのだと思います。まあ、当たらずとも遠からずですが、それは販売員がこちらより先に言う言葉ではありません。私も業界の内情をわかっているので腹を立てることもありませんが、同業者としてはその言葉使いがお客様を少しずつ減らしている原因になっているのではないかと思うのです。

 業者の中にも、最近は「雛人形を飾るのは面倒くさい」という人がいます。というか、本気でそう思っている人もいます。確かに業者としては、毎年何十何百というお雛様や五月人形を飾ったりしまったりします。たいへんな労力です。しかし、その「感想」をお客様に言ってはなりません。お客様はお金を払ってその作業をされるのです。「雛人形を飾るのは楽しい」「こんな幸せな時間は他にはない」というお客様もたくさんいらっしゃいます。というより、実際にやってみるとほとんどの方は「楽しい」と感じられます。そうです。楽しくないわけがありません。お子様やお孫様と一緒にお雛さまを飾る、比べるものが思いつかないくらい幸せな時間です。それを、お金をいただく側の人間が「面倒くさい」という。そんな失礼な商売が他にあるでしょうか。業者が「出し入れ簡単」のように宣伝するので、お客様も「簡単に飾れるもの」を求めるようになります。そこで捨て去られているのが「お雛さまを飾る喜び、幸せ」です。親王飾りなら、初めてのママでも30分もかかかりません。お人形を毎年手に取って飾っていると、あら、こんなところにこんなものがついているとか、裏側まできちんと作られているんだ、桜の花びらの中におしべめしべが、など驚かれることでしょう。そこに潜んでいるご両親やご家族の「愛」を、お子様は毎年「発見」するのです。

 

節句文化研究会では、こうした 面倒臭いけどなんだか楽しい節句のお話を出前しています。カルチャースクール、各種団体、学校などお気軽にお問合せください。→HP最後のお問い合わせメールからどうぞ

これまで、いくつかの和文化カルチャースクール様、生涯学習教室様、ロータリークラブ様、徳川美術館様、業界団体様、中学の授業などでお話させていただいています。

※この記事の無断引用は固くお断りします

  • このエントリーをはてなブックマークに追加