馬と虎 ~その四~
白馬の節会
白馬の節会と同じ姿の白馬です。
前回で触れた白馬の節会(あおうまのせちえ)とは、一月七日に帝が二十一頭の白馬をご覧になるという行事です。最初は白い馬をご覧になったのですが、鹿とか雉(きじ)、鳩など突然変異種の白い動物(いわゆるアルビノ)も縁起が良いとしてこの日のために全国から奉納されました。現代でも、上加茂神社や住吉大社などいくつかの神社で同日、画像のような姿の白馬を曳行して邪気を祓います。
現代では一月七日は「人日」となっていますが、平安時代には人日は存在せず白馬の節会、あるいは初子(はつね)の祝いとして祝っていました。年の最初の子(ね)の日には主に女子、子供、年寄りが野に出て若菜を摘み、それを七草粥としていただき、また、腰が曲がらないとして松の木に腰をこすりつけるおまじないをしました。
白馬節会と子の日の祝い、そして人日は同じ日の行事ですがそれぞれ別のものです。ですから、人日なので七草粥をいただくというのは、同日の行事なので構わないと言えば構わないのですが、本来は関係のないことがらなので「子の日の祝いだから七草粥をいただく」というのが正しい言い方のように思います。
かつては子の日の祝いは年の最初の子の日に行われていたのですが、平安時代の初期には一月七日に固定されました。同じようなことは他にも見られます。ひな祭りは元は「上巳の節句(祓え)」であり、三月の最初の巳の日に行われていたのですが、のちに三月三日に行われるようになりました。それは、三日に行われていた「曲水の宴」と一緒にした方がより楽しい一日になるからでしょう。あるいは、同じ日に行うことで手間を減らす、経費節減のためだったのかもしれません。
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