連載 七夕の重箱のスミ 103

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七夕   ~その一~

  乞巧奠

 

 七夕はふつう織姫と彦星の年に一度の逢瀬というお話になっています。その日が曇りや雨だと天の川が渡れないらしい・・・笹竹に吊るした短冊に願いを書いて飾ります。

 このお話にはとてもたくさんのバリエーションがあって、この牽牛織女譚のほかに、天女パターンもあります。天女が水浴びをしているところを男がその羽衣を隠してしまい、天に帰れなくなって男の女房になるというお話。後に羽衣を見つけた天女は天に帰り、男が会いに行くというものです。天女の話は全国にたくさんの言い伝えがあり、柳田国男もサジを投げています。しかも、日本だけでなく、中国や東南アジアにまで似たお話が伝わっています。

 写真は桶に浮かべた梶の葉です。この裏側に願い事を書いて天に祈ります。乞巧奠という名の通り、書芸や裁縫などの上達を祈るものです。

 梶は、コウゾやミツマタと同じ仲間で和紙の材料となります。葉の裏に細かい毛が生えていますが、墨で文字を書くことができます。それで、七夕を象徴する植物は「笹竹」でもいいのですが、「梶」が七夕を象徴する植物と言われます。この梶の葉をあしらった飾りのことも「乞巧奠(きこうでん)」と呼びます。梶の葉に檀紙と五行五色の房紐や麻の緒で飾ります。

 

節句文化研究会では、こうした 面倒臭いけどなんだか楽しい節句のお話を出前しています。カルチャースクール、各種団体、学校などお気軽にお問合せください。→HP最後のお問い合わせメールからどうぞ

これまで、いくつかの和文化カルチャースクール様、ロータリークラブ様、徳川美術館様、業界団体様、中学の授業などでお話させていただいています。

※この記事の無断引用は固くお断りします

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