お雛さまの着物 女雛の装束 ~3~
「天に通じる」
お雛さまの台の繧繝縁(うんげんべり)

女雛の衣の桜立涌(たてわく)

式子内親王
最初に自ら天皇を名乗ったのは天武天皇(第40代)と言われています。それまでは王や大王と言っていたのですが、天皇を名乗ったことで当時の唐の王・高宗は激怒したということです。大王は国を治めるもの、天皇は天下を治めるものなのでお前が名乗るなということらしいです。
古今東西、王は天から許されたものとされているので、その身の回りには天に通じるものが多くなります。衣裳の文様にもそれがあらわれています。
上の画像はお雛さまののっている親王台の前についている縞模様で、「繧繝(うんげん)」と呼ばれています。緋毛氈にもよくついています。
下はS字曲線がならんだ「立涌(たてわく)」という文様です。間に桜が入っているので「桜立涌」と呼ばれます。
どちらの文様もまだ肌寒い春先のお天気のよい朝、地表が日光で温められ、かすかな蒸気がきらきらと天に向かって立ち上る様子からきていると言われています。繧繝の縞模様の菱形、立涌の曲線、いずれも天に通じる文様として位の高い者のみが使用を許されています。百人一首でも天皇や院、親王、内親王らは必ず繧繝文様の縁のついた畳の台の上にいます。立涌文様の衣裳はお雛さまによく用いられますが、高貴な地位を表していますので、繧繝縁(うんげんべり)のついた親王台にのっていなければなりません。
などというそれこそ細かなことは、お雛さまの楽しさを増すのだかどうだかわかりません。
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