お雛さま 売り出し

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お雛さまの売り出しが始まりました。

京都をはじめ、全国の人形師さんや屏風師さん、道具師さんからたくさんの品が入荷しました。

当店が一般の人形店さんとなにか違う、とよく言われますが、それは「流行りのものをお勧めしない」、「大人になっても飾っていただけるもの」という考えによるものです。お雛さまは玩具やベビー用品とは根本的に異なるものです。なるべく長く、できれば百歳になっても飾っていただけるようなお雛さまを理想にしています。お子さまが赤ちゃんでいられるのは、長い人生のわずか数年に過ぎません。お雛さまは大人になってから飾る方が圧倒的に多いのです。

 

最近はSDGsという考えも大切になってきました。ちゃんとしたお雛さまであればそんなに問題はありませんが、例えば、お人形の載っている台(親王台)。この畳が最近は「和紙畳」というパルプを樹脂で固めた「イ草」の畳を用いるようになりました。「和紙畳」は商品名で、メーカー自身が「いわゆる和紙ではない」と言っています。土に戻らない畳です。さらに、イ草栽培の方たちが需要の激減によって廃業が相次いでいます。イ草がなくなっては困りますし、 なによりも和紙畳の人工的な黄色がお雛さまには合いません。当店では極力、天然のイ草畳を用いるよう心掛けています。イ草畳の唯一の欠点は「灼ける」ことと言われます。灼けるのが本物です(そんなに灼けることはありませんが)。キャンディーズの『春一番』「畳の色がそこだけ若いわ」の哀愁はイ草の畳でなくてはありえません(古いけど)。他にも知らない間に多くの代替品が出てきています。本物ができなくなって代替品が用いられるのはいたし方のないことですが、本物があるのに代替品が使われると、本物がなくなってしまいます。「本物」でないものを、知らずに「本物」のように販売していることもよくあります。私たち扱う者が、まず、注意をはらっていくことが大切だろうと思います。

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