☆百回記念☆
昨年の五月からこの「重箱のスミ」を書き始め、ついに百回の節目を迎えました。
一年間で成し遂げたかったのですが、少し遅れてしまいました。毎回、目を通してくださる方がいらっしゃるのかどうかわかりませんが、各回かなりのアクセス数があり驚くとともに感謝にたえません。よく、こんな重箱のスミをつつくような、どうでもいいことをお読みいただいていると、ほんとうにありがたい限りです。
お礼にと言えば厚かましいのですが、先着5名様に拙著「いま、伝えたい節句のお話」を進呈したいと思います。ご希望の方はこのホームページの最後の方にある「お問合せ」からお申込み下さい。「本、希望」とお書きの上、お名前、ご住所、お電話番号をご記入ください。本の発送をもって先着5名様の発表に換えさせていただきます。(ご住所等のデータは発送とともに破棄し、他のことに使用致しません。)
この「重箱のスミ」のブログは、この本を作るにあたり載せきれなかった四方山話を書き連ねたもので、いわば基になっているものです。
鯉のぼり ~その四~
座敷幟
幟や小旗にはご両家の家紋が入ります。
台には木彫りの彫刻が施されています。
座敷幟(ざしきのぼり)、両立幟(りょうだてのぼり)というものもありました。今ではほとんど見ることがなくなりました。
幟とは、旗の縦長のもので、それこそ天に向かってのぼる旗です。神社の境内や、大相撲の会場に並んでいます。鯉のぼりは、この先に付けられた小さな鯉が始まりだったのですが、この「幟」が端午の節句では重要な主役でした。武者の絵が描かれたものは「武者絵幟(むしゃえのぼり)」とも呼ばれ、神功皇后や豊臣秀吉、武田信玄と上杉謙信など色々な武者絵が描かれていました。今では時代が違うので男の子の誕生だからと言って女の子と差別するような扱いはできませんが、かつては男児の誕生は「家(うち)の跡取り」の誕生として喜ばれ、近隣にそれを知らせる意味でも大きな幟旗が建てられたのです。しかし、外に建てる幟はたいへんなので、室内のお節句飾りの鎧や人形の後ろや脇に飾れるようにしたものが、座敷幟や両立幟です。節句飾りに添えると一気に豪勢なものになります。
外に建てるのぼり類は、数十年前までは「大のぼり(武者絵のぼり)」、「鯉のぼり」、「鍾馗旗」の三本がセットになっていました。中には、ご親戚やお知り合いから「大のぼり」や「鯉のぼり」がいくつも贈られ、何本も建っているおたくもありました。むしろ、家の中に飾る鎧や武者人形よりものぼり類の方が端午の節句の中心的な存在だった感さえあります。
こうした意味合いが今では薄れ鯉のぼりだけがなんとか残ったのですが、ご両親の鯉にお子様たちの鯉のような、家族を象徴するものとして今後も続いて欲しい文化だと思います。
ちなみに、鯉は、鯉→龍と出世魚の最高のものとされています。(‘Д’)
ツバス→ハマチ→ブリ、 セイゴ→スズキ、 など出世魚にもいろいろあるようですが、水中の魚類から空を飛ぶ最強生物にまで出世しちゃうのは鯉をおいて他にありません。
2013年、英国のチャールズ王太子(現国王)にジョージ王子がお生まれになったとき、日本鯉のぼり協会が大きなポリエステル製の鯉のぼりを贈りました。しかし、折角なら、前項にあるような木綿の手染めの鯉のぼりを贈ってほしかったなと少し残念です。
節句文化研究会では、こうした 面倒臭いけどなんだか楽しい節句のお話を出前しています。カルチャースクール、各種団体、学校などお気軽にお問合せください。→HP最後のお問い合わせメールからどうぞ
これまで、いくつかの和文化カルチャースクール様、ロータリークラブ様、徳川美術館様、業界団体様、中学の授業などでお話させていただいています。
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