お雛様の意味 ~その2~
めんどくさい?

飾るのに30分もかからないお雛さま
前回(124)で「販売員の方に『小学校くらいまでしか飾らないのだから、この小さいのがお勧めですよ』と言われました。そんな失礼なことをお客様に言っているのかしらと心配になりました~」と書いたところ、どこが失礼なのか?というご意見をいただきました。そこで、なぜ失礼かを書くことにします。
この販売員(マネキン)さんの言葉は「小学校くらいまでしか飾らない」というのと「小さいのがお勧め」の二つでできています。
最初の「小学校くらいまで・・」と言った販売員さんに、悪気はぜんぜんないと思います。しかし、その言葉を分析すると、「どうせ飾ったりするのは面倒でしょ」か、あるいは雇われている問屋さんのマニュアルに「お雛さまは小学校に入るくらいまで飾るもの」となっているか、どちらかか両方でしょう。私はどうも面倒くさがりに見えたようです。そして、お子様、お孫様の生涯のお守りとしてお雛様を選びに来ているお客様には、かなり失礼な言葉ではないかと思ったのです。
もう一つの「小さいのがお勧め」というのは、「どうせ狭いマンションにお住まいでしょうから小さいのがいいですよ」あるいは「大きな高額なものは買えないでしょ?」という風に見られたのだと思います。まあ、当たらずとも遠からずですが、それは販売員がこちらより先に言う言葉ではありません。私も業界の内情をわかっているので腹を立てることもありませんが、同業者としてはその言葉使いがお客様を少しずつ減らしている原因になっているのではないかと思うのです。
業者の中にも、最近は「雛人形を飾るのは面倒くさい」という人がいます。というか、本気でそう思っている人もいます。確かに業者としては、毎年何十何百というお雛様や五月人形を飾ったりしまったりします。たいへんな労力です。しかし、その「感想」をお客様に言ってはなりません。お客様はお金を払ってその作業をされるのです。「雛人形を飾るのは楽しい」「こんな幸せな時間は他にはない」というお客様もたくさんいらっしゃいます。そして、実際にやってみるとほとんどの方は「楽しい」と感じておられます。そうです。楽しくないわけがありません。お子様やお孫様と一緒にお雛さまを飾る、これは他に比べるものが思いつかないくらい幸せな作業です。それを、お金をいただく側の人間が「面倒くさい」という。そんな失礼な商売が他にあるでしょうか。業者が「出し入れ簡単」のように宣伝するので、お客様も「簡単に飾れるもの」を求めるようになります。そこで捨て去られているのが「お雛さまを飾る喜び、幸せ」です。親王飾りなら、初めてのママでも30分もかかかりません。楽しい時間を長くするために、三人官女やお雛道具を毎年のように買い足される方もたくさんいらっしゃいます。お人形を毎年手に取って飾っていると、あら、ここはこんな風になっているのねとか、裏側までこんなにきちんとできているとか、桜の花びらの中におしべめしべが、など小さな驚きがいくつも出てきます。その発見の喜びの内に潜んでいる親御様の愛情を、お子様はいくつになっても感じることができる、それがお雛さまの大切な意味のひとつです。そしてそれは、大谷選手の「日本の女の子として育てたい」という言葉のように、日本の女の子にしかできない幸せな「体験」です。
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