2015年11月アーカイブ

お雛さま と 破魔弓 羽子板飾り

 やっと店内の展示ができました。
 新しい「お雛さま」と「破魔弓」 「羽子板飾り」、それに「お鏡もち飾り」や「松竹梅飾り」などのお正月を迎える室礼の数々です。
 伝統的であるがゆえにつくられる数も限られ、ほとんどのお店~人形店さんやデパートなど~で見ることのできないお品を揃えています。扱っていながら、自分でもお買い上げいただくのが惜しいような品々、毎朝眺めるのが楽しみなお雛さまなど、見ているだけで楽しくなります。もちろん、見るだけでも大歓迎。毎年、見にこられるお客さまもたくさんいらっしゃいます。

 はやりのものを扱わないこと、技術・素材を保つこと、プロとしてお客様にお勧めできないものを扱わないこと、をなんとか守って今年もやっていきたいと思います。

※下の方に画像が3点ございます。

「写真のお雛さま」 
{ お人形 }
下着にいたるまですべて絹製です。単衣部分の縁はすべて「ひねり」仕上げ。もっとも大切なのは人形の姿です。座っている人形は座っている姿でなければなりません。つまり、絵画彫刻と同じでデッサンが基本です。衣紋襞(えもんひだ)もできるだけ忠実に再現します。お顔は数十回もの胡粉の塗り重ねと磨きを繰り返してこしらえますが、大切なのは表情の完成度、そして上品さです。
(屏風)下地は上質の吉野杉を用い格子に組みます。下張りを重ね、手漉きの鳥の子和紙を「表具」します。絵は手描きで京都の画家に一枚ずつ描いていただきます。黒い縁は漆塗り、金具は真鍮の左右対称彫金でつや消し本金メッキで仕上げられています。京都の名工に選ばれた表具師がこしらえます。
{ 桜橘 }
絹地を一輪ずつぼかし染め、花びらを重ね、雄しべ雌しべを取り付けます。一輪ずつ取り付けた茎に細い絹糸を巻き全体のバランスを考えながらおびただしい数の葉や花をくみ上げます。年配の職人なので、もうこしらえることはできないかもしれません。現代最高の造花師の作品です。
{ ぼんぼり }
火袋は桃の花のつぼみのかたちと言われています。薄い絹を貼り、ひとつずつ手描きで画かれています。菊灯とよばれるこのかたちは、台座が菊の花のように作られていることからきています。昔はほんとうにこれにロウソクをともしたのですが、現代ではLED電球で灯りがつくようになりました。これは受け入れても良い技術進歩のひとつだと思います。
{ お道具ー三方、菱餅 }
木製の下地にカシュー漆塗装を繰り返し、本金粉で牡丹唐草蒔絵を盛り上げて描きました。唐草は全体に途切れることなく描かれ、子々孫々繁栄することを表します。牡丹は花の王様といわれ、平安時代には帝しか使うことのできない文様でした。これも今ではほとんど作る人のいなくなった工芸品です。

お人形と屏風、桜橘は京都の職人です。ぼんぼりは岐阜、お道具は静岡の職人がこしらえています。他に、冠や檜扇、人形の台、犬筥、もうせんなどそれぞれきちんとした職人によってこしらえられています。あえて職人の名前は書きませんが、お尋ねいただければお応え致します。私が良い品と思うものが有名な方であったり、そうでなかったりしますが、いずれにしてもこの業界内で有名かどうかなだけで、お客様にとっては始めて見聞きする名前ばかりで、あまり意味がないからです。むしろ、全国のデパートで扱われている職人さんはとても「有名」ですが、同じものを何百、何千とこしらえる職人さんの仕事が「良いもの」ばかりであることはありません。
たぶん、これ以上の組合せのお雛さまは、今季日本中にもあまりないでしょう。ということは、世界にも類のないものだということです。金額のお高いものはデパートさんなどでこの何倍もするものが今年も飾られるでしょうが・・・

「写真の破魔弓」
ガラスケース入りの破魔弓が一般的ですが、昭和30年ころからのもので、伝統的な破魔弓はこうした「壁掛け」や「据置飾り」です。平安時代の蜻蛉日記にもその記述があることから、千数百年の歴史のあるものであることがわかります。なにより、「かさばらず」、「ガラスがないので安全」、しかもガラスとケースの分(1~2万円)が掛からず、上質なものがお求めいただけます。円い部分は静岡の伝統工芸「千筋細工」で、竹を組んでこしらえられています。矢の羽根は希少なフクロウ。弓は木製のものに一本ずつ籐を巻いて仕上げます。

「写真の羽子板飾り」
羽子板は伝統的工芸品に指定されています。平絹や綾織りの絹地を用い、伝統的な雰囲気をかもし出しています。可愛い羽子板も良いですが、やはりこうした節句飾りは「おもちゃ」ではなく「調度品」ですので、上品さがもっとも大切です。手漉きの和紙を表具し、ひも蝶番という特殊な方法でこしらえた屏風に飾りました。焼杉の台にはつくばねを木目込であしらい、お部屋にお正月のはなやかさを添えてくれるでしょう。

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