2016年10月アーカイブ

ようやく・・

 たいへんお待たせしました。11月1日からのお雛さまの売り出しに備え、やっと店内の展示が終わりました。といっても、これから毎日のように新しいお人形やお道具類ができあがって来ますので、どんどん種類は増えていきます。逆に、お求めいただき片付ける品もありますので、お早めにお出かけいただきますようお願い申し上げます。
 一部のお店で、「お正月にお雛さまをかざりましょう」と謳っているところがあるようですが、お正月は別のお節句です。海外にいらっしゃってお正月にしか帰って来られない方など、やむを得ない場合はありますが、お正月にお雛さまを飾るのは意味がありません。いくら早くても、お正月を終えてからお飾りいただかないと何のためのお雛さまかわからなくなります。お雛さまを飾ることが桃の節句ではなく、桃の節句のお祝いにお雛さまを飾るのです。端午の節句に七夕飾りをしましょうと言っているようなものですね

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USJと淡島神社様

 淡島神社様に供養をお願いした(お金を添えて)お人形を、無断でUSJ 「祟り-tatari-」のアトラクションに貸し出した事件で、日本人形協会がついに抗議文を出したことがyahooニュースに載りました。遅きに失していると思いますが、出さないよりは良かったと思います。

 USJの反応は予想通り「法的になんの問題もない。ご意見としてうかがっておく」という、最近もどこかの大臣が言っていたようなお返事。大量生産のバービーやリカちゃん人形ならすぐさま「法的」に対応されるから絶対に使いません。この訴えの元になったお人形はとても良い人形で、博物館で展示されてもおかしくないようなものです。かわいそうに、目から血の涙を流しているメイクをされポスターになりました。この種のお人形は作られる数もきわめて少量です。タカラやマテルのような大企業ではもちろんなく、一人、または数人の工房ですべて手作りで作られるものです。こうしたお人形は「法」ではまったく守られていません。法的に訴えられない相手なので「問題ない」と言っているのです。業者だからというだけでなく、日本人として、いえ、人間としてもとても悲しい気持ちになります。ましてや、「供養」に出されたお人形の持ち主の方の悲しみやお怒りは察するに余りあります。

 お人形はこういう使われ方をすると確かにこわいのです。仮にリカちゃん人形であってもこわいです。それは、ヒトのかたちをしたものに、人はなにかしら霊的なものを感じるからだと思います。わら人形にクギを打ち込んだり、ひとがたに切り抜いた紙に願い事を記したり、人形には人の魂が宿るような感覚があり、それは日本人だけでなく世界中の民族で見られるものです。アメリカには古くからの人形がありませんが、たとえばフランスのジュモーなどのビスクドールを同じようにお化け屋敷で扱ったら、フランスの方々はいい気はしないでしょう。もうひとつ付け加えるならば、この事件のお人形は世界で最も完成度の高いお人形のひとつだということです。桐塑、胡粉で顔や胴体は作られ、髪は人毛を植え、人形用に絹の縮緬を友禅染して仕立てた、世界中の人形師が驚くようなお人形なのです。当の日本の皆さんには当たり前の人形過ぎて意識されないのですが、ビスクのような顔や胴体は日本では安物にしか使われません。胡粉を用いたお人形の仕事の複雑さ、深さ、仕上がりの美しさは世界中の人形の中で際立っているのです。

 わたしたち業者にとって問題の深刻さは、こうしたイベントによって「こわい」とイメージづけされたお人形が売れなくなっていることです。売れないこと自体は「需要がないのだから」の経済原理で片付けられるのでしょうが、実際に、この市松人形を作る職人が激減しているのです。市松人形をメインに据えて製作している職人は、今、全国で2~3人になってしまいました。これは世界中で2~3人という意味なのです。今回の事件で、売上はさらに減り、おそらく数年のうちにさらに1~2軒の職人が廃業するでしょう。日本からこの市松人形が絶滅するのは頭の中の想像だけでは決して無いのです。

 数十年前に、この市松人形の「毛が伸びる」といって女の子たちを恐怖させた主も、実は同じ淡島神社さんです。実際には、毛は「伸びる」のではなく、古いお人形は毛を接着してある糊がきかなくなって抜けてくるのです。もっとスゴイのは、わたしが現にテレビの番組で見た「髪が伸びるお人形」です。塩ビの安物のお人形なのですが、頭に掘った溝に、たくさんの毛を二つ折りにして針金で押し込んだ作り方のもので、当然、引っ張れば髪の毛は抜けてくるのですが、それをキャスターとタレントが「髪が伸びる」とキャーキャー言って怖がるというものでした。わたしたちにとっては笑い話にもならないおそまつな番組なのですが、これを見て「こわい」と思った女の子はたぶん何万人かいたはずです。

 USJのような大きな企業にとっては取るに足らないクレームなのでしょうが、わたしたち業者や職人にとっては生活にかかわることでもあるのです。今 述べたようなきわめて完成度の高い、世界中にもまれな日本のお人形と、お雛さまのような人形を主体とした行事を、もし、日本の文化だと思って下さるのなら、日本の文化の一端をおもちゃにされたようなわたしたちの気持ちをわかってくださるでしょうか。USJでは、来年もまた同じ企画を催すのでしょうか(法的になんの問題もないので)。淡島神社様は、また供養に出されたお人形を無断で使い回しで貸し出すのでしょうか。この感受性のなさ、想像力の欠如にわたしたち業者は本当に悲しい気持ちにさせられて
いるのです。

大好き!お雛さま展

 老若を問わず、お雛さまが大好きな女性はたくさんいらっしゃいます。それは、お雛さまはご両親やおじいさまおばあさまが用意してくれたかけがえのない贈り物で、飾る度に重ねてきたしあわせな思い出のつまった宝箱でもあるからです。

 わたしたち人形屋は毎年何百という数のお雛さまを見るのですが、仕事とはいえ人の子です。そんなおびただしい数のお雛さまの中でも大好きなものがどうしても出てきます。当店では基本的に好きになれないようなお雛さまは扱いませんので、好きなお雛さましかないのですが、やはりその中でも特にお気に入りが出てしまいます。その基準はあいまいなのですが、突き詰めて考えると作者がなんのために作っているかなんだと思います。商売と割り切って作っておられる方と、作りたくて作っている方の作品はおのずとかもし出す匂いが違ってきます。その辺りを見極めてお客様にご提供するのがわたしたちの仕事なのかもしれません。

 江戸時代から今のものまで、大好きなお雛さまだけを並べます。お雛祭りの季節には展示することができませんので、季節外れなのですがどうぞご覧下さい。
 
 「大好き!お雛さま展」 
会期 : 10月13日(木) ~ 19日(水)
場所 : 当店内
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人形供養祭

 昨日は早朝から大須観音様で人形供養祭です。未明まで台風18号の心配をしていたのですが、なんとかテント等の準備も間に合い、台風一過の晴天の中、挙行することができました。
 朝からたくさんの方々にお越しいただき、みんな汗だくです。ご希望の方は本堂の中奥で、貫主さまが護摩木をくべながらの供養、読経の前に上がりご焼香をいただくこともでき、中には荘厳、丁重な供養に涙される方もいらっしゃいます。お人形を扱わせていただく側としても、感動的です。お客様の涙に値するだけのお人形を提供させていただけているか、もっともっと勉強精進することがあるのではないかと、毎回身が引き締まる思いが致します。
 この供養祭は年に一回、10月の最初の木曜日に開かれます。この地域で最も歴史格式のある供養祭です。先日、某神社が、供養に出されたお人形を持ち主の方に無断でUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)の、よりによって「祟り(たたり)」のアトラクションに貸し出し、マスコミに大きく採り上げられた事件がありました。お人形には目から赤い血が流れているメイクまで施され、多くの方が心を痛められたことと思います。このお人形は「市松人形」だったのですが、このお人形の主産地は名古屋周辺でした。「でした。」というのは、しばしばこの市松人形は怪奇的なドラマやイベントに用いられ、「髪の毛が伸びる」とかさんざんな目にあわされて製作業者もどんどん減少、今では県内でも数軒を残すだけになってしまったからです。この市松人形が過去の遺物となるのもそう遠い未来ではないでしょう。昭和の初めに、アメリカから贈られた「青い目の人形大使」の答礼として贈った日本のお人形の代表は、この「市松人形」でしたのに。

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ホームページ一新

 最近はスマートホンでの検索が多くなってきて、従来のホームページをスマホでも見やすいよう仕様を一新しました。内容はそのまま引き継いでいますが、「玉泉作」というページを新しく加えました。これは、当店で実際に製作しているものをご覧いただけるようにふやしたものです。

常時製作しているものだけで、お客様からのご注文による特殊なものは掲載していません。全国の神社や博物館さまからのご注文も多いのですが、中には掲載してはならないものもあり、通常の製品の一部ををカタログ的に載せたものです。


 画像は先日わたしどもの組合活動の一環で職人さんたちに「国の伝統的工芸品」、つまり「伝統工芸士」の資格を取っていただこうという活動で、真剣に会合をしている模様です。


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