五月人形の「重箱のスミ」①
「兜のてっぺんの穴」
ときおり、お客様から「兜のてっぺんの穴にはめるものがない」と、
クレームをいただくことがあります。この穴にはめるものはないのです。
名前は「天辺孔」といい、穴を構成している金具を「八幡座」といいます。
この穴は何のためにあいている?
いくさは涼しい時ばかりではありません。真夏のときには陽にやかれて、
目玉焼きができるくらいに熱くなります。その熱気を逃すためにあいて
います。烏帽子をかぶった人形がありますが、平安時代から鎌倉初期には
兜はこの烏帽子をかぶったまま兜をかぶり、烏帽子の先端をこの穴から外に
出します。3番目の絵のように、兜の上から出ている黒いものです。
暑い時には当然、頭がかゆくなります。そのときはこの穴から棒を突っ込んで
掻きます。鎌倉時代後期には、兜の内側に布や革で「うけばり」というクッ
ションを貼るようになったので、兜の先から烏帽子を出すことはなくなり
ましたが、代わりに最後の絵のようにこの穴に飾り物をくっつける変な人
(””(-“”-)”)も現れました。江戸時代の節句飾りの兜にも、この穴に造花や
作り物を立てたものが見られます。
楽しい五月人形
五月人形って、兜や鎧ばかりなのになぜ五月「人形」?と思われる方も多いのですが、このようにお人形もたくさんあるんです。
可愛らしいものが多いのですが、そこは永年飾っていただくために、それなりの完成度が求められます。つまり、大人になっても飾っていただけるような存在感とデザイン性です。
左の武者人形の旗には御家紋をお入れすることもできます。
小さなものは5000円ほどから各種ございます。
人生が100年なら・・・
人生が100年だとしたら、お節句飾りは100回飾れるものでなければなりません。
「初節句」「小学校入学」「受験」「就職」「結婚」「出産」・・・人生のさまざまな節目にもそれは飾られ、お子様がやがて独立し、ご夫婦二人の生活になったときも節句のしつらえとしてそれは大きな役割を果たすものです。
ご家族に思いを致し、心ゆたかに自然や平和に感謝し、祈る。それが節句飾りです。
流行のない、大人になっても飾れる良質な節句飾りをお求めください。子供でいられるのは10年ちょっと、節句飾りは大人になってからの方が圧倒的に飾る回数は多いのです。
13日(日)の交通規制
明日、13日(日)は、女子マラソンのために市内各所で交通規制があります。
当店のすぐ東側の伏見通り(国19~国22号)も10時過ぎから15時過ぎまで通行止めとなりますのでお気をつけ下さい。当店の東側からは規制状況をご確認の上、ご来店ください。西側からは影響なくご来店いただけます。
名古屋高速も直近の「丸の内出口」はこの時間帯、降りられません。「明道町出口」と「錦橋出口」は降りられますので、堀川沿いにお越しください。
当店西角で進入禁止案内がされますが、「大西人形へ」と言って下されば入れます。
どうぞお気をつけて。
お雛様は最強のお守り
入学試験本番の時期です。お雛さま、五月人形をお持ちのお子様には、是非、いま、飾ってあげてください。
お雛さまはお子様にとって最強のお守りです。お誕生の時のご両親、ご家族の暖かい思いがこめられた、そのお子様だけのために用意されたお雛さま。これを入試の今、飾らずにいつ飾る?ぜひ、今、お飾りください。
端午の節句飾りをお持ちの男子は、それこそ出陣の日です。「人事を尽くして天命を待つ」。
お雛様も五月人形も、お子様にきっと勇気と、守られているという安堵感を与えてくれるはずです。
がんばってくださいね!!
お雛様の重箱のスミ的「そうなんだ!」⑭
お雛さま
昨日は二十四節気で「雨水」。いつごろからか、お雛さまを飾るのによいころとされています。
当店のような専門店では、3月3日までお雛さまを販売しています。それは、2月に誕生されたお子様にとっても
3月3日は「初節句」となるからです。また、最近は少なくなりましたが、少し前までは旧暦や月遅れで雛祭りをされる方々がけっこういらっしゃいました。そうした方にとってはひな祭りまではまだひと月以上あります。お雛さまにつきものの桜の花が満開なのは、もともと旧暦で雛祭りは行われていたからです。
五月人形も少しずつ展示していますが、お雛さまをお迷いの方も、どうぞご来店ください。
お雛様の重箱のスミ的 気になるところ⑬
前にも揚げた裳(も)のお話。女雛の後ろにつける白いエプロンのようなもののことです。この裳の上部には大腰という腰板があり、そこから小腰(こごし)と引腰(ひきごし)という2種の帯が出ています。近代の十二単では、この小腰で装束全体をまとめていることは先に述べましたが、今回はその裳の上端のひらひらについて。かなり高額なお雛さまでも、ひらひらになっているものがあります。ひらひら部分が大腰にまとめてあると、ウエストラインや背筋の凛とのびた様子を表現でき、可愛らしさが増すように思います。
お雛さまの重箱のスミ的どうでもいい話⑫
男雛の装束の、立てば膝辺りにくる衣の裾部分、襴(らん)といいます。歩きやすいように左右に蟻先(ありさき)というゆとりを持たせています。衣の上部は裂地(きじ)を縦に使っていますが、この部分は横に長いので裂地を横向きに使います。そこで、この白い方はよく見ると柄が横向きになっています。一方、黒い方は同じような柄ですが、上部と同じ柄が縦に揃っています。
実際の装束だと、この襴のためにわざわざ柄の向きを90度変えて織るというとても面倒なことをしていますが、人形の場合だと横に裁断しても仕立が可能ですので、現在はほとんどが柄の向きを合わせています。どちらが良い、という話ではありませんが、2~30年前までは多くの男雛の装束は白の方のように柄が横向きでした。